夏のいいモノ・いいコト セレクション

まもなく夏本番。この暑い季節に涼を呼ぶため、人々は古来より様々な工夫を凝らしてきました。そこで生まれたいくつかの技は、芸術性も育みながら、現在まで受け継がれています。涼感や美しさが私たちの心を潤す、天満切子と京扇子。関西で作られる優美な工芸品に込められた「職人の技」の奥深い魅力をご紹介します。

「白竹堂」
①京扇子 瑞夏(みずか) 金魚 5,500円

■阪急うめだ本店 11階 きもの売場 ■千里阪急 1階 服飾雑貨売場 ■川西阪急 2階 婦人雑貨売場

「天満切子」
②ロックグラス 王冠(青) 38,500円〈G20大阪サミット贈答品選定品〉
③ロックグラス 颯(はやて)(緑) 38,500円

■阪急うめだ本店 7階 『日本の手仕事サロン』「祖雅堂」

大阪・天満で栄えたガラス文化を美しく伝える
目で感じる涼、天満切子

大阪の天満界隈が、かつてガラス産業で繁栄していたことをご存じでしょうか。昭和初期には、多くのガラス工場が存在していました。その後、様々な情況により衰退していた天満のガラス産業。この街の文化を守ろうと立ち上がったのが、宇良硝子加工所の宇良武一氏です。独自の切子の製作・販売を開始し、2000年(平成12年)に「天満切子」と命名しました。V字形の刃を用いる江戸切子や薩摩切子とは異なり、U字形の刃でやわらかな表情を生みだせるのが天満切子の特徴。「鑑賞の美」と「用の美」を兼ね備えた芸術性が高く評価されています。2019年(令和元年)に開催された『G20大阪サミット』で、各国首脳への贈答品として選定されたことも名品の証。大阪を代表する工芸品に成長しています。

「天満切子」
ロックグラス颯(はやて)(緑)38,500円
■阪急うめだ本店 7階『日本の手仕事サロン』「祖雅堂」

職人が、手間と時間をかけて、ひとつずつ
天満切子ができるまで

ガラス生地を検品~ 割出し
原材料のガラス生地(透明のガラスの外側に色ガラスを被せた2重構造の色被せガラス)をチェック。基準に合格したら、割出機を使いながらカットの目安になる基本線を手で描いていきます。

模様を削る、摺り工程
摺り(研削)と磨きの工程を6名の職人で分担。まず円盤状の砥石を回転させる研削機で、模様を削ります。粗摺りから中摺り、最終削りへ工程を進めるごとに、より目の細かい砥石に付け替えます。ここで必要なのは回転スピードやグラスを押し付ける力加減など、デリケートな調整。特に側面の縞模様は、すべて同じ間隔、同じ太さで削らなければならず、一番難しい作業。何より熟練の技が求められる部分です。

輝きを生む、磨き~バフ掛け
削ったガラス面が透明になるよう、研磨剤をつけたコルク盤で磨きます。さらに、バフ掛けと呼ばれる仕上げの磨きを行えば、美しい天満切子の完成です。この最後の工程で、グラスが熱を持って割れてしまうことも多く、とりわけ慎重さが求められます。

宝石のように美しく 万華鏡のように輝く

そこに存在するだけで、私たちの目を奪う天満切子。この「鑑賞の美」から「用の美」へと、美しさが頂点を迎えるのは飲み物をそそいだとき。底に刻まれた模様が光の屈折でグラスの内側に映り込み、万華鏡のようにきらめく模様が徐々に現れてくるのです。U字彫りでガラス面を凹レンズの形状にし、削った面を磨き作業で鏡面仕上げをする、天満切子ならではの趣きです。また、角のないカッティングは、手に優しくなじみやすいのも特徴。「天満切子を手にするすべての方を、幸せな笑顔にできるように」稀有な美しさをかなえる技巧の一つひとつに、職人たちの熱い思いが込められています。

「白竹堂」
⑤京扇子 美桜香(みおか) 9,350円

■阪急うめだ本店 11階 きもの売場 ■千里阪急 1階 服飾雑貨売場 ■川西阪急 2階 婦人雑貨売場

「白竹堂」
⑥京扇子 彩詩(あやうた) 撫子(なでしこ)13,200円

■阪急うめだ本店 11階 きもの売場 ■川西阪急 2階 婦人雑貨売場

「白竹堂」
⑦京扇子 短地渋扇(たんちしぶせん) 10,450円

■阪急うめだ本店 11階 きもの売場 ■川西阪急 2階 婦人雑貨売場

伝統の職人技の数々を凝縮。
京扇子の風は、涼しさとともに使う喜びも運びます。

着物文化を育ててきた京都は、扇子の文化も育ててきた土地。諸説ありますが、扇子は平安時代、手紙などをしたためていた「木簡」から派生したと言われ、1200年の歴史を重ねてきました。中でも「京扇子」とは、京都・滋賀の職人が仕上げる扇子をさします。

およそ88もの工程のほとんどを手作業で、分業制で行うのが特徴。多くの職人技が京扇子に凝縮されています。一般的な夏扇をはじめ、飾り扇子、茶席で使う茶扇など、用途も様々。
1718年(享保3年)創業の老舗「白竹堂」では、伝統を踏襲しつつ、現代のライフスタイルに合わせた京扇子も提案しています。素材にレースやデニムを使ったり、ラインストーンをあしらったり、ミュージシャンとのコラボ作品の提案なども。京扇子を手にしてもらう機会づくりにも積極的です。“末広がり”の縁起の良さから、贈りものとしても喜ばれてきた京扇子。最近は、海外への贈りものや外国人観光客のお土産としても人気。伝統を守りつつ進化を続けています。


約88の工程に、職人たちの技が冴える
京扇子ができるまで

若い竹を使って、扇子の骨づくり
材料は3年~5年の若い竹です。丈夫な扇子にするため、外側の硬い部分を使用。薄く細く加工し、親骨には彫り細工や塗工程を施し、要の部分で束ねます。

紙を合わせ、上絵をつける
芯紙を表と裏から皮紙ではさんだ3枚合わせのものを、扇面型に切り抜きます。切り抜いた紙に上絵をつけていきます。桜などの花、鮎やトンボなど縁起のよいモチーフが定番です。

じゃばら状に折って、扇子の仲骨(竹)を通す道をつくる
上絵のついた紙を、型紙2枚ではさみ、じゃばら状に折り目をつけてから、仲骨を差し込む穴を通します。

仲骨を差し込み、仕上げる
折り目をつけた紙に通した穴に息を吹き込み、開きます。この穴に水糊をつけた仲骨を差し込み、接着します。この作業は、水糊が乾く前に正確に仕上げる必要があるため、特にスピードが求められます。そして、扇子を閉じたときに手触りが心地よく感じるよう、親骨(両側の太い竹)を熱してゆるやかに曲げます。最後に、親骨と紙を接着し、形を整えると完成。

“Re・ニッポンの夏~Meet the new classic”をテーマに、伝統の技法や文様に洗練されたセンスを掛け合わせたり、誰かと和のお出かけを楽しんだり、夏の時間を特別にしてくれる、ゆかたスタイルをご紹介しています。ゆかたと京扇子をコーディネートして日本の夏の魅力を楽しんでみては。

(左から)
「美術サロン」
ゆかた 77,000円、半巾帯 19,800円 「古今」三分紐 5,500円 「つばめボビン」帯留め 9,900

「古今」
ゆかた 47,300円 、半巾帯 22,000円 京都「さんび」三分紐 6,600円 「つばめボビン」 帯留め 11,000円「yumiko yano〈ユミコ ヤノ〉」 髪飾り 14,850円

『阪急ゆかたスタイル2024』
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